乾癬の原因は完全に解明されているわけではありませんが、遺伝的な体質に加えて、免疫機能の異常や環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
乾癬
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乾癬は、皮膚に赤い発疹や白いかさぶたのようなものができる慢性的な皮膚疾患です。見た目の症状から「人にうつるのでは?」と心配される方もいますが、乾癬は感染する病気ではありません。
しかし、その症状は生活の質を大きく低下させることがあります。乾癬の症状に悩んでいる方、治療法について知りたい方、ご家族に乾癬の方がいる方は、ぜひ最後までお読みください。
乾癬は、皮膚の細胞が正常なサイクルよりも速く増殖し、炎症を起こすことで様々な症状が現れる病気です。主な症状としては、境界がはっきりした赤い発疹(紅斑)の上に、フケのような白いかさぶた(鱗屑)が厚く付着します。これらの症状は、ひじやひざ、頭皮など、外部からの刺激を受けやすい部位に多く見られます。
最も患者数が多いタイプが、この尋常性乾癬です。全身の皮膚に、赤く盛り上がった紅斑と白い鱗屑ができます。大きさや形はさまざまで、強いかゆみを伴うこともあります。私のクリニックでも、このタイプの乾癬で来院される患者様が最も多いです。特に、頭皮や生え際、おでこに症状が出ると、見た目が気になってストレスに感じる方も少なくありません。
風邪などの細菌感染が引き金となって、全身に小さな水滴のような赤い発疹が多数現れるのが滴状乾癬です。特に若い人に多く見られます。以前、20代の患者様が全身に小さな赤い発疹が急に現れて驚いて受診されたことがありました。問診を詳しく行うと、数週間前に扁桃腺炎にかかっていたことがわかり、滴状乾癬と診断しました。このタイプは、風邪などの感染症が治まると自然に軽快していくことが多いです。
皮膚の症状に加えて、関節に痛みや腫れ、変形などが起こるのが乾癬性関節炎です。乾癬の患者様の約10〜15%に合併すると言われています。この症状は、関節リウマチと間違われることも多いため、専門医による正確な診断が非常に重要です。
乾癬の原因は完全に解明されているわけではありませんが、遺伝的な体質に加えて、免疫機能の異常や環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。
乾癬の症状は、日常生活のちょっとしたことが引き金となって悪化することがあります。ここでは、特に注意が必要な4つの要因について詳しく解説します。
ストレスは、乾癬の免疫反応を活性化させ、症状を悪化させる大きな要因となります。仕事や人間関係、睡眠不足など、心身にかかる負担が大きいと、皮膚の炎症が強くなる傾向があります。以前、仕事のプレッシャーで多忙な毎日を送っていた患者様が、症状が悪化して来院されました。ストレスを軽減するために、趣味の時間を取り入れたり、十分な睡眠をとることをアドバイスしたところ、症状が落ち着いてきたというお話を聞いて、私自身も改めてストレス管理の重要性を実感しました。
肥満は乾癬の炎症を悪化させる一因とされています。また、高カロリー・高脂肪の食事、アルコールの過剰摂取なども症状を悪化させる可能性があります。栄養バランスの取れた食生活は、乾癬の改善だけでなく、全身の健康のためにも非常に重要です。
乾癬は、皮膚の刺激によって症状が出現したり悪化したりする「ケブナー現象」が知られています。例えば、衣類による摩擦、カミソリでの剃毛、日焼けなどが挙げられます。札幌市でも冬場は乾燥しやすく、衣類との摩擦で症状が悪化する患者様が増える傾向にあります。
風邪やインフルエンザなどの感染症にかかることで、乾癬の症状が急に悪化することがあります。また、特定の降圧剤や抗うつ剤などの内服薬が、症状を悪化させるケースも報告されています。
乾癬の治療は、症状をコントロールし、生活の質を向上させることが目的です。完治させることは難しいですが、適切な治療を継続することで、症状のない状態を維持することも十分に可能です。
外用薬は、乾癬治療の中心となるものです。ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑える作用があり、紅斑や痒みを軽減します。一方、ビタミンD3外用薬は、皮膚の異常な増殖を抑える効果があります。最近では、これらを組み合わせた配合剤も登場し、より効果的な治療が期待できます。私も日々の診療で、患者様の症状や生活スタイルに合わせて最適な外用薬を選んでいます。
特定の波長の紫外線を皮膚に照射し、炎症を抑える治療法です。紫外線には免疫の働きを調節し、乾癬の病態を改善する効果があります。特に、全身に症状が広がっている方や、外用薬だけでは効果が不十分な方におすすめです。当院でも、光線療法を受けるために来院される患者様が増えています。
シクロスポリンは免疫細胞の活性を抑制することで炎症を鎮め、皮膚の症状を改善する薬剤で、即効性がある反面、腎機能障害や高血圧などの副作用があるため、定期的な血液検査が必要です。
軽~中等症の乾癬に用いられる内服薬で、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)という酵素の働きを阻害することで炎症を引き起こすサイトカインの産生を抑制します。
重症の乾癬患者様に対しては、生物学的製剤という注射薬が非常に有効です。これは、乾癬の炎症に関わる特定の物質をブロックすることで、根本的な病態に働きかけます。高価な治療法ですが、従来の治療で効果が見られなかった方でも、劇的な改善が期待できます。
乾癬の症状をコントロールするためには、日々のセルフケアも非常に大切です。
入浴は皮膚を清潔に保つために重要ですが、ナイロンタオルなどでゴシゴシ洗うのは避けましょう。皮膚への刺激は乾癬を悪化させます。また、お風呂上がりには保湿剤を塗ることで、乾燥を防ぎ、皮膚のバリア機能を保つことができます。
野菜や魚を中心とした和食は、乾癬の改善に良いとされています。また、適度な運動はストレス解消にもつながり、症状の安定に役立ちます。
睡眠不足はストレスを増やし、免疫機能の乱れを引き起こします。毎日7〜8時間を目安に、質の良い睡眠を心がけましょう。
乾癬は、見た目の症状から周囲の理解を得られにくく、一人で悩みを抱えがちな病気です。しかし、乾癬はうつる病気ではありませんし、適切な治療とセルフケアによって、症状をコントロールし、快適な日常生活を送ることが十分に可能です。
乾癬と診断された方、あるいはその可能性を疑っている方は、決して一人で悩まず、信頼できる皮膚科医に相談してください。症状やライフスタイルに合わせた最適な治療法を一緒に見つけていきましょう。何かご不明な点や、お悩みがございましたら、札幌市の桑園オリーブ皮膚科クリニックにお気軽にご相談ください。
